10月19日の企業視察も08:30豊橋駅前集合で出発しました。
今日の視察には、三枝正彦教授も参加され、車中講義も行っていただきました。
冒頭、三枝教授から、本日の視察先の経営者はいずれも先を読む力がある方々である。
これからうかがう小久井農場は、農地の大規模化で成功した方で、農地は320ヘクタールある。
との解説がありました。
つづいて、これからの6次産業について、消費地から遠い中山間地ではなく、都市近郊型農業でなくては成功は難しい、それにはいくつかの条件がある。
① これからの農業は有機栽培か低農薬栽培により地域住民の信頼を得ること
有機農業を行っている農家はきわめて少数であるが、環境負荷を軽減し、地域と共生できる都市近郊農業をめざすにはこれしかないと思う。有機農法を促進させるには科学的アプローチが必要で、農水省においても有機農業促進法により行政指導を本格化している。これらの農法では病害虫の付きにくい野菜の栽培を目指すとか虫の少ない春取り野菜に転換するとか、雑草が育ちにくい農法にするなどいろいろな工夫がある。農薬や肥料についても使用基準が見直され、有機栽培がしやすい環境づくりがなされている。
② 経験と勘に頼る農業を捨てること
今の農業のやりかたでは若者の後継者が育たない。地域で共同して野菜工場や施設園芸を経営し、週3日は農業後継者をサラリーマンとして雇用し、農業を魅力ある職業として発展させ、家の農業も手伝わせるような方法により若者の農業離れを食い止める方策を講ずる必要がある。
③ 遊休農地対策
都市近郊では離農者が多く、遊休地が増大している。これを有効活用するため、魅力ある貸農園を作り、定年退職者などの就農希望者を受け入れるとともに、行政に働きかけ、家庭の生ごみを貸農園のたい肥として活用するシステムを構築し環境負荷を軽減させるとともに、余った野菜を産直で販売できる方法も考える。
このためには、農業指導員を配置し、貸農園のルールを定め、施設もトイレ、シャワーなどを完備し就農希望者が楽しんで就農できるような方策を講ずる。
④ 摘み取り農園
ブルーベリー、ラズベリー、ミニトマトなど都市近郊での摘み取り農園は収穫の手間を省き、収入を得るなど一石二鳥の都市近郊農業の形態である。
とのお話がありました。
最初の視察先 ㈲小久井農場 岡崎市岡町 代表者 小久井正秋さん(左側)です。
早速、直売場の視察、自社商品の他、地元の農家の産品も名前入りで展示してあります。
メーンの商品が米なので品揃えも豊富です。
大豆の生産にも力を入れ、味噌も作って販売しています。
3階の会議室で、農場の概要を説明していただきました。
テレビ局各社が放映した映像も見せていただきました。
320ヘクタールという広大な農地はほとんどが近隣農家から借り入れたもの、後継者のいない農家の水田を借入れて地元の農業を守っておられるそうです。
羨ましいのは、4人の兄弟姉妹が全員父親の農業を手伝っていること、親の背中を見て自然に父親の経営を引き継ぐようになったそうです。
パンフレットに
”人を育て心を育てる”
人の思いやる心、有難うございますという感謝の心、すみませんという反省の心を他人に対してもち、相手の立場に立って物事を考え、自分の行動に責任を持てる心を育てます。
”こだわり”
健康な土壌で育った健康な作物を生産します。
そして、「安全・安心でおいしい」は当然のこと「一度食べたら忘れない味」を目指します。
とありました。
次に向かったのが、大府市のげんきの里です。
三枝教授は、移動中の車中で、小久井農園の感想を受講者の発表させ、それぞれの感想にコメントをされ時間を有効に使った課外授業を行われました。
”げんきの里”では自由見学と昼食です。
売り場面積も国内最大だそうで、他に食堂、ファーストフード店、魚屋、温泉、足湯、体験農場などあらゆる施設が網羅されています。
珍しい野菜も沢山ありました。
昼食をすませ、にいみ農園に向かいます。ここはミニトマトの専門農園だそうです。
中央が新見社長、左が三枝教授、右が講習担当者の松尾さんです。
とても爽やかな感じの社長さんです。
トマトの苗、芽かきした側枝をウレタンの培地に挿し、苗を育てるそうです。
使用する側枝は生育の良いトマトの枝を選んで切り取り使いますが、欠点は病気などがそのまま伝染すること、苗が不揃いになることだそうです。
水耕栽培の液肥と水を供給する 装置です。根の水分などを自動的に感知し自動で給水するシステムが取られているそうです。
水耕栽培の根の部分、水が流れる空間しかありません。企業秘密も惜しみなく公開していただけます。
収穫前のミニトマト、完熟したものだけ摘み取るそうです。
玉は不揃いですが、社長曰く「うちのミニトマトは食卓の主役ではありません。脇役に徹すれば玉が不揃いでもお客様のご理解は得られます」とのこと。なるほど!
収穫されたミニトマトです。
農作業にはパート従業員を雇用しているが、人によって作業能力にバラツキがあり、それぞれの作業工程で結果を数値化し、従業員の教育に役立てておられるそうです。
このため、従業員の能力差が少なくなり効率のよい農作業が可能になったそうです。
にいみ農園でも、従業員の方々が笑顔で迎えていただき爽やかな気分で視察を終えることが出来ました。
有難うございました。
文責 与太郎
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