2013年7月3日水曜日

6月3日農業実習

前回に引き続き防鳥ネット張作業を行いました。
圃場は、ナス、ピーマン、シシトウまで
今日は、ネット1枚で覆い被せる方法を取りました。
支柱を建て作業から始めます。

















デカいネットを中村教官の指図で一斉に持ち上げて全体に被せてゆきます。

















被せた防鳥ネットを支柱に結束してゆきます。
高所作業が得意な2班の井上さん率先して働きます。
さすが、バレーの町内選手、スポーツジムのインストラクターだけあって身のこなしが軽い!

















ハクビシンも入れないように下部もきちんと結束
これで、ハクビシンもシャットアウトできます。
しかし、しかしです。
餌場を奪われたハクビシンはこれからどうして食糧を調達するのでしょう。
すこし可愛そうな気もします。ごめんね!
ネット張のあとはトマトの整枝作業と作物の収穫
本日の収穫
キュウリ115本、オクラ17個、ピーマン37個、シシトウ39個でした。


















午後1時から16時まで「植物生理学」の講義
講師は
前猿投農林高校校長 藤井和弘先生、パワーポイントを使って分かりやすく授業をしていただきました。

















以下その講義内容です。(文責与太郎)
はじめに
農業は理論や理屈を言っても始まらない。実体験と想像力を働かせた実践力が必要である。
1 植物生理学
 農業はお金儲け、事業の一つ、農業は植物の生理学を応用して発展してきた。
 例えば、養液栽培、水耕栽培、礫耕、砂耕、ロックウール栽培(今は衰退)など革新的な方法も取られるようになった。
 また、日本の力で植物ホルモンの解明が進み各方面で利用されている(詳しくは後述)
 その他、植物体の基本構造と生理機能の解明により、植物の先端部の成長を促進させるために剪定による若い枝を増やし、植物の生産性を上げる技術も生まれた。
 一方、植物生理学を応用した、電照菊など開花調整技術、石垣イチゴのような不時栽培(時無し)、胡蝶蘭の栽培に応用されている周年栽培(発芽温度調整)、組織培養による大量増殖で栽培期間の短縮などである。
 光の波長の研究により450㎚の青い光と660㎚の赤い光だけで植物が生育可能であることも発見され植物工場に活用されている。
 発芽条件の研究も進み、発芽に必要な水、酸素、温度の何れかを除けば種子の長期保存も可能になった(縄文期の大賀蓮の例)
 植物の内生リズムも解明され光にどのように反応するか、季節変動からどのようにして身を守っているかなど徐々に分かってきている。
2 植物との接し方
 植物体の中での養分はどのように移動しているのだろうか。
 水の動きは蒸散流(水を押し上げる力)で根から茎、葉へと運ばれ、葉からの蒸散作用と二酸化炭素を取入れ光合成し酸素を放出する。
 茎の中は根から水分と無機物を地上部へ運ぶ導管と光合成産物を他の部位に移動させる師管がある。
 このことを利用して環状剥皮による取り木(取り木・形成層を剥ぎ取りミズゴケなどを巻き付け根を出させる)が行われている。
 植物の生活と温度との関係解明が進み、春化(バーナリゼーション・一定の温度に遭遇すると花芽形成する現象)を利用し栽培時期を制御する技術
 ホルモンの働きによる、紅葉現象の解明など、植物が生育する条件を良く知って作物と接することが大切である。
3 植物の遺伝子
 DNAと呼ばれるデオキシ リボ 核酸の解明により、細胞融合植物(トマトの茎とジャガイモの根を持つ=ポマト、ハクサイと赤キャベツ=ハクラン、オレンジとカラタチ=オレタチなど)が生まれ、細胞培養による大量増殖苗の出現、カルス(組織分化などを行わず分裂を繰り返す未分化の細胞集団)を利用した挿し木の技術、バクテリアの力を借りた遺伝子組み換え作物などが生まれている。
4 植物の発生と成長
 植物の生長点(頂芽・オーキシン)は細胞分裂の元、効果的な剪定により植物の成長を促進させ、若々しい、光合成活発な植物に作り替える作用がある。
5 植物の運動
 植物には様々な運動がある
 傾性~刺激に対して反応する(オジギソウ、食虫植物)
 屈性~刺激に対して刺激の方向に曲がる。刺激の反対方向に曲がる性質を持つ物がいる。
 重力屈性~植物が倒れたとき自分の力で起き上る性質
6 気孔の運動
 葉の気候が気象条件などにより開閉する。
 除草剤の効果的な使い方として、気孔が開いている時に散布すると効果が高い(曇り空、早朝、夕方)
 また、除草剤に界面活性液(ママレモンなどの洗剤)を入れると葉表面の油分を溶かし、より効果が高くなる。
7 植物ホルモン
オーキシン~成長促進効果、挿し木、果実の巨大化
ジベレリン~発芽促進効果、種なしブドウ、果実の巨大化
エチレン~発芽抑制、果実の熟成(リンゴをキウイ)
サイトカイニン~組織培養培地、萌芽発生促進
アブシジン酸~気孔の開閉効果、綿花の落下による収穫の効率化に利用
8 光と植物
 日照時間の長短よる変化
 生育過程におけるC/N比、つぼみ時期、開花時期、生殖成長期ではC/N比が変化する
 短日植物と長日植物~日が長くなると花芽を形成=小麦、ダイコン、ほうれん草。日が短くなると花芽を形成=稲、大豆、菊など、応用として電照菊での光照射方法の改善も行われた。
9 光合成と代謝
 光合成に活用される光はわずか0.3%に過ぎない。従って光合成の阻害になる枯葉や無駄な葉は除去する。必要な葉の数は1果に対して20葉が一番良いとされ、高級食材作りに活用されている。
 たとえば静岡県磐田市のクラウンメロン、作り方のマニュアルは600万円、クラウンメロンの値段は2~3万円、子蔓12節から15節までに1個で栽培している。最高の光合成環境で成功した例である。
 その他、光合成効率の良い作物を作り、土壌浄化を図るのも良い方法である。効率の良い作物では、稲、麦、トウモロコシ、サトウキビなど、広い畑があれば1作いれると畑の浄化につながる。茎は緑肥にする。
10 光合成と環境要因
 光が強ければ光合成が無限大になることはない。ある程度の温度で頭打ちになるが作物と樹木では異なる。作物は光合成速度が速く、樹木は低く弱くても長続きする性質がある。
 森林では、松、ブナは光合成速度が速いが、ブナ、シダなど陰性植物と言われるものは光合成速度が低い。
 宮脇昭という大学教授が”鎮守の森”こそが日本再生の切り札などと言っているが、照葉樹林は”死んだ森”で光合成力はほとんどない(剪定して成長を促進させてやれば別だが)森林の末期症状というべきものだ。
11 栄養
 肥料の3要素、窒素、リン酸、カリにはそれぞれの働きがあり適正に使用することが大切である。
 窒素はタンパク質、核酸、葉緑素に必要であり、リン酸はエネルギー源で骨粉などに多く含まれる。カリはイオンの活性化に役立ち根の形成に欠かせない。
その他、硫黄、カルシウム、マグネシウムもそれぞれタンパク質の形成、細胞膜形成、葉緑素構成に必要であり、他に微量栄養素(鉄、銅等の金属イオン)も欠かせない。
 土中の水素イオン濃度(PH)も植物に応じた適正値を知ることも必要である。
 土中の窒素代謝を効率よく行うため緑肥の構成も考えること、イネ科とマメ科植物の混栽が良いと思われる。
12 おわりに
 農業は失敗してナンボの世界、失敗から学ぶことは大きい。
 分からないことのほうが多く、常に勉強し実践することが重要である。

名講義ありがとうございました。


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